2022年度事業計画
Ⅰ.自主事業

当センターは、自主事業として、機関誌の発行、地域開発研究懇談会の開催及び「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」表彰事業等を実施し、社会に貢献するとともに、広く情報提供を行っていく。

1.機関誌(『地域開発』)発行事業
機関誌月刊『地域開発』は、1964年10月の創刊以来継続して発行してきており、2022年3月で通巻640号となった。
2018年度からは、季刊(年4回)に変更し、2022年度は、編集委員会を中心に、引き続き幅広く充実した質の高い情報をより広く提供するよう努めることとし、人口減少・少子高齢化社会や東日本大震災からの復興への取組、揺れ動く国内外情勢など、社会の様々な動きの中で地域のニーズを捉えながら、国土政策、広域行政、デジタル化、防災国土づくり、コンパクトシティ、地方創生、地域連携、新たな研究報告の発掘等、多角的な視点からの企画編集を行い、今後も継続して発行することとする。
また、「地域開発」に功績のあった関係者へのインタビューを通じて、記録化を図ることとする。
 ●『地域開発』編集方針
1)内容
地域振興に関連するテーマを中心に特集を組み、地域の自立と連携を支援、促進する。また、広く内外在住の研究者、実務家に寄稿依頼するとともに、問題を深化するため、独自の調査研究を行う。
2)編集方法 編集委員会において、上記に関する議論を行い、担当編集委員のもとで企画を進める。加えて、外部有識者による新たな企画の発掘にも努める。
3)対象読者 地域経済人、地方自治体職員、市民団体、地域問題政策担当者・研究者・実務家など。
●編集委員会
  委員長 (編集長) 大西達也(独立行政法人日本スポーツ振興センター 理事)
委 員 瀬田史彦(東京大学大学院工学系研究科 准教授)
委 員 岡部明子(東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
委 員 松永桂子(大阪公立大学大学院経営学研究科 准教授)

2.「地域開発研究懇談会」等のセミナー事業
当センターの賛助会員を中心に、地域開発に関心の高い関係者を対象としたセミナー形式で開催している「地域開発研究懇談会」は、2019年度末で通算503回の開催を数えた。
2021年度は、コロナウィルス感染症予防の観点から開催中止を余儀なくされたが、2022年度においては、都市・地域に関わる一層幅広い分野からテーマや講師を選び、会員及び一般の参加者に対し、時宜を得た有意義な情報を提供すべく、コロナ感染症の収束状況を見極めながら開催する。具体的な講演内容としては、以下の領域の中から、タイムリーかつ参加者の関心の高いテーマを設定する。
・中長期的視点に立った国土政策、地域政策(少子高齢化・人口減少時代を見据えた国土ビジョン、国土・地域計画、地方創生、スマートシティ、リニア新幹線と地域開発)
・大都市圏戦略(国際競争力と大都市圏整備、都市再生、神宮外苑再開発)
・地方振興(個性ある地域づくり、地方移住促進、中間支援組織支援、無居住化していく地方部における対応策、地域経済振興)
・東日本大震災および大災害からの復興(コミュニティ、まちづくり、地域経済)
・防災防疫国土づくり(安全安心な地域づくり、国土管理、インフラ整備、パンデミック対応のあり方)
・環境・エネルギーと国土(エネルギーインフラと国土、森林資源・海洋資源の活用)
・経済動向と地域(国際経済の潮流と地域活性化、東京と地方の経済格差問題)
・行財政システムと地域(道州制、大都市制度、地方分権、ふるさと納税、DX化)
・科学技術と地域振興(ビッグデータ・IT・AIの活用可能性、大学と地域の連携)
3.「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」表彰事業
本表彰事業は、「建物躯体とエネルギー設備機器を一体として捉え、トータルとしての省エネルギー性能」の評価を行い、優れた住宅を表彰することで、省エネルギーやCO2削減等へ貢献する住宅の普及と質的向上を促進することを目指している。
本事業は、民間主導の特色ある表彰制度であり、2007年より「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」として4回、2012年からは、設備機器をオール電化に限定せず「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」として10回の計14回実施してきた。
本事業は、公平・中立を旨とする公益的事業であり、特定の利害関係を有する企業とは一切係らずに実施してきた結果、社会的評価を得て徐々に応募を増やし、全国的な広がりを見せながら長期間にわたり継続してきた。 本事業は、今回の第15回をもって終了する予定であったが、全国の工務店等から継続してほしいとの強い要望があり、社会的にも意義のある事業であることから、当面継続して実施する。
(参考)応募件数:2012年87件、2018年285件、2019年347件、2020年305件、2021年265件
Ⅱ.調 査・ 研 究事業
 当センターの調査・研究は、自主・受託業務を中心に、以下のように推進する
1.2040年+の東京都心市街地像研究会
  「2030年の東京都心市街地像研究会」においては、都市再生緊急整備地域制度の充実を念頭におきつつ、政府が提唱する、低炭素化の中期目標年次2030年における東京都心部の将来像を作成した。この将来像作成のねらいは、「低炭素化、国際経済化、都市美化、高質な居住と文化、そして安心と安全」の5点であった。
具体的には、2008年10月、当センター内に賛助会員などの参加企業による「2030年の東京都心市街地像研究会」を設置して研究を進め、都心3区を中心にコンパクトに絞ったエリアを対象に、民間開発ポテンシャル等も踏まえながら、「将来市街地像」をとりまとめた。これに引き続き、「シンボルプロジェクト(環2周辺、大手町、八重洲、江東、新宿)」また「地区別構想(品川、押上、臨海内陸部、江東、赤坂周辺、池袋)」の検討を行い、加えて巨大都市における防災機能向上の観点から、備蓄機能を備えた分散かつ自立型の生活・生産拠点などについても検討の対象とした。さらに、2012年度からは、都心周辺地域の市街地像について、都心部との関連性に着目しつつ居住・産業・文化・景観・緑等様々な観点から検討を深め、住みたい東京のグランドデザイン等について最終的な取りまとめを行った。
2015年からは、「2040年+の東京都心市街地像研究会」として、これまでの成果も踏まえつつ、さらにその先の2040年を見越した将来ビジョンに関する新たな視点での検討を行い、高齢化する東京の今後の都市計画の4つの戦略(「国際競争力」、「安全・環境」、「品格・居住」、「歴史・文化」)と11の戦術からなる具体的な提案を東京計画図案集としてとりまとめた。
2018−20年度は、東京の国際競争力が東京区部だけでなく東京圏全体の都市機能や人口集積が根源となっていることを踏まえて、区部から検討のスコープを広げて東京圏全体を俯瞰した将来展望を行い、「2030年および2040年における東京のあり方」を「たたかう東京」「すみたい東京」「すてきに東京」「つくろう東京」の4冊に取りまとめて出版した。
2021年度は、コロナ感染症の影響で、研究会の開催が制限されたが、2022年度は、コロナの収束状況を見極めながら、引き続き検討を行い、必要となる政策・制度提案を行っていく。
2.環境・エネルギーと地域づくり・まちづくりに関する調査研究
   当センターは、これまで「ローカーボン地域づくり・まちづくり研究会」、「真庭市バイオマス産業杜市構想調査」など、環境・エネルギーシステムと地域づくり・まちづくりのノウハウの連携方策について調査研究を行ってきた。
2022年度では、引き続き、こうした蓄積を活かしながら、環境・エネルギー分野と地域づくり・まちづくり分野を融合に向けた調査研究に取り組むよう努める。

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