2013年7月号
通巻586号

特集 東日本大震災と仮設商店街の展開

 東日本大震災によりいまも30万人を超す人びとが避難生活を送っている。被災地における人びとの生活に直結した重要な「生活を支える産業」として小売商業、飲食業、サービス業がある。多くは生業、自営業であり、津波により大きな打撃を被った。今回、無償で提供された事業用仮設施設のなかに、商店、飲食店等が集積し、仮設の商店街を形成するケースがみられる。これが個々の自立のきっかけとなり、商いの意味を深く理解することとなっているようだ。
  本特集では被災地に広く設置されている仮設商店街の中から10のケースを取り上げ、その成立した背景、具体的な形態、機能、将来の可能性、抱えている問題等をみながら、被災地の仮設商店街のこれからと私たちの「未来」をみていくことにしたい 。

特集にあたって
関 満博 『地域開発』編集長・明星大学
岩手県宮古市田老地区/仮設住宅と共に歩む共同仮設店舗「たろちゃんハウス」
酒本恭聖 大阪市立大学大学院創造都市研究科博士後期課程、
川西市中央北整備部中央北推進室
岩手県山田町/仮設商店街や自立型の商店が林立
――地元スーパーが率先して商店街の設置に向かう
松永桂子 大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授
岩手県大槌町/大槌北小福幸きらり商店街の挑戦と課題
姜 雪潔 明星大学経営学部経営学科助教
岩手県釜石市/高台公園の仮設住宅に併置「平田パーク商店街」
新張英明 前釜石市会計管理者兼会計課長
岩手県大船渡市/中心浸水地に設置「おおふなと夢商店街」
山本 健 岩手県立大学総合政策学部准教授
岩手県陸前高田市/自然発生的に中心機能が集積「高田大隅つどいの丘商店街」
――高台の耕作放棄地に仮設のまちが出現
関 満博 明星大学経済学部教授
宮城県気仙沼市/被災店舗の自立を支援「復興屋台村気仙沼横丁」
――地元有志がプロデュースし、一般社団法人化
関 満博 明星大学経済学部教授
宮城県南三陸町/観光拠点となった「南三陸さんさん商店街」
――新たなまちづくりに向かう仮設商店街
松永桂子 大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授
宮城県女川町/宮城県立女川高校グラウンドに出現した「きぼうのかね商店街」
立川寛之 八王子市教育委員会生涯学習スポーツ部スポーツ振興課
宮城県石巻市/復興商店街から考えるまちづくり
――中心市街地の未来を考える
鈴木眞人 株式会社日本経済研究所総務本部経営企画部長
◎<調査報告>都市縮小の先端を走るデトロイト最新事情(3)
自動車都市から水と緑の環境都市へ:縮小に向けた戦略的プランニングの試み
阿部大輔 龍谷大学政策学部准教授
◎<調査報告>
2040年までの南関東4都県の市区町村別将来人口の見通し
――社人研・日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)より
鈴木 透・小池司朗・山内昌和・菅 桂太・貴志匡博 国立社会保障・人口問題研究所

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