2010年度の地域政策講演会・地域開発研究懇談会


●445回(2010年04月) みつばちを通してみた東京の生物多様性のあり方
 昆虫とはあまり縁がないと思われる東京都内にも、意外とみつばちが飛んでいる。みつばちは、蜂蜜をつくり、農作物を実らせるのみではない。身近な花木をも結実させ、それが鳥を呼び、豊かな生態系を生み出す立役者でもある。COP10が日本で行われる今年度、「緑豊かなまち」のあり方をみつばちの目から見つめ、都市における生物多様性について考えてみた。
朝田 くに子 氏(NPOみつばち百花代表理事、(株)風土倶楽部代表取締役)

●446回(2010年05月) 交通基本法は社会をどう変えるか〜交通権とその背景と展望〜
 交通権の概念を取り入れた交通基本法は数年前からの民主党の懸案であり、制定に向けて、中間報告をもとに、5月初旬までパブリックコメントが行われている。欧州では、法的に規定されている国も多く、この法律により、交通権の意義づけとともに、交通整備の視点が、供給サイドから需要サイドへと転換することが想定される。最初に交通権を制度化したフランスでの議論や、その後の成果を紹介しながら、このシナリオに対するメリット・デメリットそして、懸案と展望を述べる。こうした新しい価値観の導入に向けて、参加者の皆さまと意見交換を行いながら、日本への導入のあり方を考えた。
望月 真一 氏((株)アトリエU.D.I.都市設計研究所代表取締役、カーフリーデージャパン)

●447回(2010年6月) 都市と農山村をつなぐ『空と土プロジェクト』〜経営資源を活かしたCSR活動事例〜
 三菱地所では、「都市も農山村もお互いに元気になる社会」をめざし、2008年度より「空と土プロジェクト」を始めました。これは、都市住民が農山村を訪れ、農林業体験による交流を通じて双方が抱える問題を認識し、更には地域資源の活用と会社の事業活動との連携も視野に入れています。都市部で事業展開する不動産会社がなぜこのようなCSR活動を進めているのかを伺いました。
西貝 昇 氏(三菱地所株式会社CSR推進部長)

●448回(2010年8月) 新成長戦略とその展望
 昨年9月、政権交代し、新政府が誕生し、新しい路線を踏み出し始めた。  6月18日、『新成長戦略〜「元気な日本」復活のシナリオ〜』が閣議決定された。そこで、今回は、新成長戦略を策定した内閣官房国家戦略室の担当者であった黒田昌義企画官から、いきさつ、苦労話、その主要な内容、これからの展望について伺った。その後、当センター役員の小澤一郎理事、山ア朗評議員が加わり、新成長戦略へのコメントをいただき、新成長戦略の評価できる部分あるいは課題が浮き彫りとなった。
黒田 昌義 氏(内閣官房副長官秘書官兼内閣総務官室企画官(前内閣官房国家戦略室企画官))
討議 小澤 一郎氏(当センター理事、(財)都市づくりパブリックデザインセンター理事長、都市計画)
山ア  朗氏(当センター評議員、中央大学大学院教授、経済地理)

●449回(2010年9月) ポストユビキタスによる社会変化と新ビジネスの可能性
 情報通信技術の発展により、ユビキタス社会では「いつでも、どこでも、誰とでも」 というコミュニケーションが出来る社会を目指してきた。その過程で、iphone、ipad の ような情報端末の出現にとどまらず、SNSよりゆるい関係性で成り立つtwitter(つぶや き)による政治行動への変化や商品販売へ効果も出始めている。 しかし、その延長上にはどのような変化やビジネスが起きてくるのだろうか。空前 の少子高齢化社会を迎える日本社会の各局面で考察した。これからは、「いまだけ、ここだけ、 あなただけ」という個人の特性に合わせた情報サービスへと進化していくという指摘がなされた。
長谷川 文雄 氏(明治大学国際日本学部教授)

●450回(2010年10月) 低炭素社会の構築と電化住宅の役割
 温暖化対策の延長線上に低炭素社会の実現が叫ばれ、温室効果ガスの排出量を、2020年までに1990年比で25%削減しようという目標が掲げられている。こうした大きな目標を達成するためには、より強力な施策が必要である。電化住宅は、アフォーダブルで優れた省エネ住宅であるとの評価がすでに定着しているが、断熱強化、高効率化、創エネを取り込み、21世紀の低炭素社会に相応しい住宅としての地位を固めねばならない。
  「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」は、こうした動向を先取りして進められてきた表彰制度である。たとえば、政府が「住宅事業建築主の判断の基準」を告示すれば、すぐにそれに対応し、前回からは同基準で用いられる評価手法を採用している。そして、今回は、これまでの戸建・新築を対象とした表彰に加えて、集合住宅(新築)部門と戸建・リフォーム部門を新設した。住宅の省エネ化には、新築のみならず様々な住宅ジャンルに対する対策が必要なのである。
  本講演では、このような背景と動向について紹介し、電化住宅とハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリックの役割について述べた。
坂本 雄三 氏(東京大学大学院工学系研究科教授

「地域政策講演会」・451回地域開発研究懇談会併催(2010年11月) (賛助会員・地域開発研究懇談会会員対象)
●452回(2010年12月) メディカルツーリズムの海外動向と日本の展望
 温医療観光(メディカルツーリズム)は、政府の新成長戦略に取り上げられた施策である。またインバウンド政策として発展が期待されている分野である。しかしながら、実情はどうであろうか。国内の医療制度問題、観光振興の問題とも大きな課題がある。今回は、メディカルツーリズムに先行して取り組んでいる海外動向を紹介し、また日本では、課題となっている人材育成、医療ビザ発給、JCI認証等について解説を行う。そして、日本の今後の方向を考察してみた。
千葉 千枝子 氏 (観光ジャーナリスト、東京成徳短期大学講師)

●453回(2011年1月) 企業による農業参入の可能性と新しい時代の農業  
 近年、農村において農家の担い手の減少、耕作放棄地拡大、高齢化・過疎化の進展の結果、国では農家全体への支援を進めようとしている。建設業、流通業等各企業は、農業への参入を始めているが、必ずしも成功しているとは言えない。一方、国際貿易の自由化に対して、農業経営者は、農地や経営の大規模化、マーケット重視の商品販売が必須とされてきている。なぜ、日本の農業は現在のようになったのかを今までの農業政策から解きほぐし、企業的農業者の実像、そして企業の農業への参入の可能性を探り、新しい時代に必要とされる農業とは何かについて解説していただいた。
昆 吉則 氏 (農業技術通信社社長、月刊『農業経営者』編集長、A-1グランプリ主催、
元内閣府行政刷新会議農業WG専門委員

「地域政策講演会」・454回地域開発研究懇談会併催(2011年2月) 2030年の東京 その2―東京23区の将来像
                ─2030年の東京23区の人口(外国人を含む)と建物について都市計画的な課題を語る
 当センター会長の伊藤 滋が、前年度の「2030年の東京 その1」に続き「2030年の東京 その2―東京23区の将来像」をテーマに講演いたしました。
伊藤 滋 氏 ( ()日本地域開発センター会長、早稲田大学特命教授)

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