2016年度の地域政策講演会・地域開発研究懇談会



●494回(2016年9月) 超高齢人口減少社会のまちづくり〜柏プロジェクトの経験から〜
日本は、医療技術の発達、健康増進の推進により日本人の長寿化による高齢社会が実現してきた。他方で、認知症が増加し、生活習慣病を含めて虚弱人口が増加している。 大都市圏では、これから急速に高齢化が進み、従来型の医療政策や田舎への高齢者移動によるCCRC構想だけでは当事者の主体性を確保できず、そもそも間に合わない事態が予測される。 講師の辻教授は、地域で暮らし、地域が終の棲家(Aging in Place)となる地域包括ケアシステムを各地域単位で構築していくことが早道であると提唱している。柏プロジェクトの経験と成果を元に、多世代が相互に支え合うコミュニティ形成のための方策を提案していただきます。
辻 哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授、元厚生労働事務次官)

●493回(2016年7月) スマートシティの価値創出〜スマートシティの評価指標構築と、付加価値の「見える化」に向けて〜
最近、「スマートシティ」「スマートタウン」と呼ばれる地域開発や地域改善の取組 みが国内外で行われています。これらはICT・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化する取り組みであり、省エネルギーも含めた持続可能な社会の実現に向けて大きな意味があるものと考えられる一方、追加負担となるコストに見合った不動産価値を創出できるのか、運営体制を含めて持続可能な事業とすることができるのかなど、課題も抱えているものと思われます。講師の伊藤雅人氏は、2005年に環境に配慮した不動産の付加価値に関する論文を発表して以来、国土交通省の環境不動産普及促進検討委員会やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)研究開発委員会、国連環境計画金融イニシアティブ不動産ワーキンググループなどでの活動を通じて、環境に配慮した不動産の価値の「見える化」を促進する取り組みを進めてきました。スマートシティの課題に関しては、公益財団法人トラスト未来フォーラムの支援のもとで、「スマートシティ研究会」(委員長:東京大学 野城智也教授)の事務局長として、スマートシティ評価指標の作成に向けた研究成果をまとめています。今回は、その「スマートシティ研究会」の研究成果をもとに、スマートシティ評価指標の構築や、付加価値創出に関する考え方を、実例を交えながら示していただきます。
伊藤 雅人氏(スマートシティ研究会事務局長、三井住友信託銀行不動産コンサルティング部審議役 環境不動産推進チーム長)

●492回(2016年5月) 新たな国土形成計画が描く国土の未来像〜人口減少や多発する災害に対応した国土づくり〜
新たな国土形成計画(全国計画)が昨年8月に閣議決定され、今年3月にはこの全国 計画に基づいて8ブロックの広域地方計画が大臣決定されました。 最初の全国総合開発計画から数えて7回目となる今回の国土形成計画では、昨今の環境変化を踏まえつつ、特に人口減少に初めて正面から取り組み、人口減少下での目指すべき地域構造として「コンパクト+ネットワーク」という概念を打ち出しました。国土交通省では、4月に国土審議会計画部会を廃止し、新たに計画推進部会を設置して、新たな国土形成計画に位置付けた国土像の実現に向けて、計画の推進を図ることとしています。 これまでの国土計画の経緯を踏まえつつ、新たな国土形成計画が描く国土の未来像を紹介し、その実現に向けた今後の取組について報告します。
白石 秀俊氏 (前:国土交通省国土政策局総合計画課長、兵庫県参事兼計画監・人と防災未来センター副センター長)

●491回(2016年4月) 対流による拠点づくりと、地域活性化の新たなビジネスモデル
昨年閣議決定された国土形成計画では、「対流型促進国土」を掲げ、そのための拠点の形成や海外からの投資の呼び込みが謳われています。それを地方都市で具体的に実現するためには、「人とノウハウと資金」をいかにして外部から持ち込むかが、「人口減少下における持続可能な地域経営」の課題です。 講師・藤村望洋氏は、環境リサイクルと防災まちづくりで有名な早稲田商店街のアイデア源であり、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた南三陸において「全国ぼうさい朝市ネットワーク」を率いて「福興市」を立ち上げて産業復興への道筋をつけ、甘い酸っぱい大小様々なみかんの取り合わせ「枝付きみかんセット」や、捨てる魚を火山灰で最高級干物に加工する「灰干し」ネットワークなどの商品開発でも知られている地域活性化ビジネスモデルのコンセプト・デザイナーあり、まさに「対流」を引き起こし、構想を実現するアイデアマンです。
エーゲ海全体の小型船ビジネスモデルをそっくり瀬戸内海にもってきて、島々を結んで「国際海洋観光」の産業と市場の創出や、「漂流する若者たち」による古民家再生のゲストハウスによる世界的なネットワークや、シャッター商店街こそ新しい観光資源策、小さな資金を全国から「小さな拠点」に集める「クラウドファンディング」と「ふるさと納税」などなど、豊富な地域活性化ビジネスモデルの具体策を示していただきます。
藤村 望洋氏(内閣府・地域活性化伝道師、経産省・商店街よろず相談アドバイザー、農水省・食のオフィシェ、UR都市機構・まちづくり支援専門家、ぼうさい朝市ネットワーク代表、日本海洋観光推進機構専務理事、東京いのちのポータルサイト副理事長)


●489回(2016年2月) 東京の都市づくりの現在と今後 〜東京オリンピック・パラリンピックの先を見据えた都市づくり〜
2020 年オリンピック・パラリンピックの開催まで5年を切りました。高度経済成長期の1964 年大会とは異なり、成熟社会での開催となる今回の大会は、既存施設も十分に活用しながら、開催が都市にもたらす持続的な効果、いわゆるレガシーを重視した都市づくりを加速させていく契機とする必要があります。具体的には、公共交通の充実、清潔で安全な都市という東京の強みを生かしながら、歴史や文化が感じられ、美しく風格ある街並みの形成、効率的なエネルギー利用、バリアフリーや歩行者空間の拡大など、都市空間の質にさらに磨きをかけていくことが重要です。
一方で、東京の人口は、2025 年には65 歳以上の高齢者人口が4人に1人となり、14 歳以下の人口は1割を下回るなど、これまで経験したことのない大きな転換期を迎えます。東京の持てる力を結集して、2020 年大会を成功させるとともに、都心の機能更新、羽田空港の機能強化や三環状道路などのインフラ整備により、経済を活性化させて新しい富を生み出し、国際競争力の強化を図っていかなければなりません。
こうした課題を踏まえ、オリンピック・パラリンピック大会に向け、さらにその先を見据えた都の都市づくりの取組についてご紹介いただきます。
安井 順一氏(東京都技監・都市整備局長兼務)

 

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