●495回(2016年12月) 水力発電が日本を救う
文明の誕生と発展にとってエネルギーは絶対に欠かせない。メソポタミヤ文明、黄河文明はエネルギーで誕生し、エネルギーで衰退していった。日本文明の奈良、平安そして江戸への変遷もエネルギーで説明できる。
21世紀、化石エネルギーによる地球温暖化が指摘され、再生エネルギーへの文明転換が主張されている。日本の未来のエネルギーは何か?実は、日本には豊富なエネルギー資源がある。水力発電である。それも、新規にダムを建設するのではない。既存ダムの有効利用と再開発の工夫によって、大量なエネルギーポテンシャルが誕生していく。
枯れることがなく無限に続く国産エネルギーの水力が、未来の日本を救っていく。
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竹村 公太郎氏(公益財団法人リバーフロント研究所・研究参与、日本水フォーラム代表理事及び事務局長、元国土交通省河川局長) |
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●494回(2016年9月) 超高齢人口減少社会のまちづくり~柏プロジェクトの経験から~
日本は、医療技術の発達、健康増進の推進により日本人の長寿化による高齢社会が実現してきた。他方で、認知症が増加し、生活習慣病を含めて虚弱人口が増加している。
大都市圏では、これから急速に高齢化が進み、従来型の医療政策や田舎への高齢者移動によるCCRC構想だけでは当事者の主体性を確保できず、そもそも間に合わない事態が予測される。
講師の辻教授は、地域で暮らし、地域が終の棲家(Aging in Place)となる地域包括ケアシステムを各地域単位で構築していくことが早道であると提唱している。柏プロジェクトの経験と成果を元に、多世代が相互に支え合うコミュニティ形成のための方策を提案していただきます。
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辻 哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授、元厚生労働事務次官) |
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●493回(2016年7月) スマートシティの価値創出~スマートシティの評価指標構築と、付加価値の「見える化」に向けて~
最近、「スマートシティ」「スマートタウン」と呼ばれる地域開発や地域改善の取組 みが国内外で行われています。これらはICT・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化する取り組みであり、省エネルギーも含めた持続可能な社会の実現に向けて大きな意味があるものと考えられる一方、追加負担となるコストに見合った不動産価値を創出できるのか、運営体制を含めて持続可能な事業とすることができるのかなど、課題も抱えているものと思われます。講師の伊藤雅人氏は、2005年に環境に配慮した不動産の付加価値に関する論文を発表して以来、国土交通省の環境不動産普及促進検討委員会やCASBEE(建築環境総合性能評価システム)研究開発委員会、国連環境計画金融イニシアティブ不動産ワーキンググループなどでの活動を通じて、環境に配慮した不動産の価値の「見える化」を促進する取り組みを進めてきました。スマートシティの課題に関しては、公益財団法人トラスト未来フォーラムの支援のもとで、「スマートシティ研究会」(委員長:東京大学 野城智也教授)の事務局長として、スマートシティ評価指標の作成に向けた研究成果をまとめています。今回は、その「スマートシティ研究会」の研究成果をもとに、スマートシティ評価指標の構築や、付加価値創出に関する考え方を、実例を交えながら示していただきます。
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伊藤 雅人氏(スマートシティ研究会事務局長、三井住友信託銀行不動産コンサルティング部審議役 環境不動産推進チーム長)
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●492回(2016年5月) 新たな国土形成計画が描く国土の未来像~人口減少や多発する災害に対応した国土づくり~
新たな国土形成計画(全国計画)が昨年8月に閣議決定され、今年3月にはこの全国 計画に基づいて8ブロックの広域地方計画が大臣決定されました。
最初の全国総合開発計画から数えて7回目となる今回の国土形成計画では、昨今の環境変化を踏まえつつ、特に人口減少に初めて正面から取り組み、人口減少下での目指すべき地域構造として「コンパクト+ネットワーク」という概念を打ち出しました。国土交通省では、4月に国土審議会計画部会を廃止し、新たに計画推進部会を設置して、新たな国土形成計画に位置付けた国土像の実現に向けて、計画の推進を図ることとしています。
これまでの国土計画の経緯を踏まえつつ、新たな国土形成計画が描く国土の未来像を紹介し、その実現に向けた今後の取組について報告します。
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白石 秀俊氏 (前:国土交通省国土政策局総合計画課長、兵庫県参事兼計画監・人と防災未来センター副センター長)
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