第426回 地域開発研究懇談会(2008年06月)

「地方の自立に向けたシナリオ〜財政健全化法を受けて〜」

 講 師 穂坂 邦夫 氏
      NPO法人地方自立政策研究所理事長、前志木市長

 日 時 2008年6月24日(火)15時〜17時

 会 場 霞が関コモンゲート ナレッジスクエア・スタジオ

 三位一体改革によって、地方交付税は削減されたが、地方分権は十分に進んでいない。そして、急激な削減のために自治体の財政運営は厳しさを増している。
財政健全化法が2009年には施行されることになっており、地方財政をどうするかは待ったなしとなっている。今回は、志木市長時代に、短期間で教育を始め多くの地方行政改革を推進してきた穂坂邦夫氏から地方財政への対策について提案する。

■内容

1.成熟社会への転換と財政の悪化
これまでの中央集権的システムは役目を終え、地方分権へ向かわなくてはならない。このために行政は180°の方向転換を求められている。しかし現在の地方自治体は長期入院患者の様なもので、退院して自立するためにはリハビリが必要となる。自立した地方自治体が分権時代に力を入れるべき事は、無駄な出費を抑え、100円の税金を100円の価値で使うようにすることだ。

2.様々な改革の失敗「傾いた家のドアを修理する」
税源移譲で何が変わったのであろうか。それは教育と医療にかかる資金の出所である。しかし資金の出所が変わってでも基本的な枠組みが変わっていないので、結果として何も変わっていない。これは現行システムを維持したまま改革をしようとした結果である。現行システムは莫大な冗費をかかえ、その結果、道を造った先の町から人が消える様な自体を招くので、システムそのものを変える必要がある。
地方財源健全化法は、官僚的運営体を加速させる危険性もあるが、その一方で財政規律の醸成、議会改革の促進、基礎的自治体の自由化も期待できる。現在の地方自治体は、どこも首長がいて副長がいて議員がいるが、大都市と小規模市町村が同じシステムであることはおかしいだろう。今回の地方財源健全化法が各自治体に合った制度を導入していくきっかけとなるといい。シティマネージャー制度も選択肢の1つとなろう。

3.ピンチは絶好のチャンス
行政の仕事を根底から見直すことは、やろうと思えばやれることである。地方自治体の仕事は7千個程度しかなく、補完性の原理に基づいて機械的にやればいい。そして、これらに基づき、住民や企業と協働によって自治体再生を目指すと良い。現在の企業は地域づくりにはまだまだ関心が低いが、海外の動向を見れば、関心を持たざるを得ない状況にもなるだろう。棚田のまま安く安全で美味しい米を作る技術を企業が開発するようになることを期待する。


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