2008年度事業計画
T.月刊誌『地域開発』の発行
 機関誌月刊『地域開発』は、1964年10月の創刊以来継続して発行している。2008年4月で通巻523号となる。2007年度に編集体制を強化し、さらに新たな気持ちでより質の高い情報をより広く提供するため、一層の内容充実を図り、幅広い読者層に有用な情報提供をめざす。
 本年度は国土計画の分野では国土形成計画が固まったことにより、道州制や広域地方計画の議論が本格化していくと思われる。また、洞爺湖サミットの開催を控え、地球温暖化対策などの環境問題にもより焦点が当たるであろう。こういった今日的な課題に着目しながら、国土計画・広域行政論、地域振興・地域間格差・環境・景観問題、中国など近隣諸国の動向紹介などについて、多角的な視点からの企画編集をしていく。また、地域開発研究懇談会の収録なども予定している。

 ●『地域開発』編集方針
@内容
地域振興に関連するテーマをもとに特集を組み、地域の自立と連携を促進する。また、広く内外在住の研究者、実務家に寄稿依頼するとともに、問題を深化するため、独自の調査研究を行う。
A編集方法 編集委員会において、上記に関する議論を行い、担当編集委員のもとで、企画を進める。
B対象読者 地域経済人、地方自治体職員、市民団体、地域問題政策担当者・研究者・実務家など。

●編集委員会の方針
  地域の自立と連携を支援する『地域開発』
●編集委員会
  委員長 (編集長) 大西 隆 (東京大学大学院教授、 当センター理事長)
委 員 関 満博 (一橋大学大学院教授、当センター理事)
委 員 矢作 弘 (大阪市立大学大学院教授、当センター理事)
委 員 根本祐二 (東洋大学教授)
委 員 大西達也 (日本政策投資銀行地域振興部課長)

U.「地域開発研究懇談会」の開催
 地域開発についての会員形式セミナーである「地域開発研究懇談会」は、2007年度末で通算開催424回を数える。
2008年度においても、原則として年10回開催し、都市・地域に関わる一層幅広い分野からテーマや講師を選び、会員等に対し時宜を得た、有意義な情報を提供していくように努めることとする。
 このため、センター評議員・理事の方々の特段のご協力を仰ぐと共に、企画・運営の一層の充実を図っていくこととする。
 また、賛助会員の方々を対象とした「地域政策講演会」も、タイムリーな現地見学を取り入れるなど、工夫を凝らして実施していくこととする。

V.調 査・ 研 究
 当センターの調査・研究は、自主・受託業務を中心に、次のように推進する。
 1. 自主研究事業
1)ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック表彰制度
   2004年から2005年にかけて、当センターの自主研究として実施してきた  「環境と暮らしにやさしい住まいとまちづくり検討委員会」の成果である、建物躯体とエネルギー設備機器をセットとして捉え、トータルとして省エネルギー性能の高い優秀な住宅を選定する「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」表彰制度を2007年度に創設し、多数の住宅メーカーから応募をいただいたところである。
 本年度においても、本制度の運営を通じ、住宅の省エネルギー、CO2排出等の削減推進を支援する。特に本制度の各地域への普及促進をはかり、地域における住宅の省エネルギー促進への貢献を目指する。
2)国土・都市・地域ビジョン研究会
   当センターは2008年度で45周年を迎えるが、今までの実績を再整理しつつ、 公益法人制度改革への対応等を踏まえて、今後のあるべき姿や新たな研究事業態勢を検討する。
 具体的には、センター関係者(研究者、実践家、行政官、企業経営者をはじめとして、理事・評議員・監事等)に呼びかけ、定期的な研究会を開催する。
 センター関係者からの意見を集約し、今後の研究活動方向や公益法人制度改革への対応等を議論し、センター事業活動の基盤拡大、ネットワーク化への一助とする。
3)実践まちづくり研究会
   2007年度から準備してきた、実践まちづくり研究会の第1期として、センター理事を主査として「大学と地域」をテーマとした研究会を開催し、提言を行う。提言をもとに、事業として発展させることを期待する。
4)地方における産業再生研究会
   千葉県木更津市において、企業的大規模農業経営モデル事業計画を策定したが、地方における産業再生のプランとして、全国での展開可能性を検討する。ニーズのある地域に対しては、積極的に関与し、地方再生の事業化支援を行う。モデル事業計画策定メンバーを中心に検討を行う。
5)ベトナム都市・地域振興事業
・地方都市振興のための日越地方行政官交流事業
   本事業は、2006年度下期からスタートした。経済発展著しいベトナムにおいて、巨大化する大都市と地方の均衡のための地方振興を支援する。とりわけ地方行政に着目し、現在ベトナムの地方行政が抱える個別の課題について、類似の経験をもつ日本の地方行政の経験を紹介し、それをもとに行政官相互のワークショップを行う。複数個所での交流事業を展開し、連携させ、全体としての効果をあげ、持続的な交流へと発展させていく提案を行う。2007年度は、ラムドン省ダラット市と山梨県富士河口湖町、ビンディン省と福岡県北九州市にてワークショップを実施した。本年度は、テイニン省およびバリア・ブンタウ省で実施する。なお、本事業は、笹川平和財団の助成を得て実施している。
・ベトナム都市開発調査
   ベトナムは、経済発展が著しく、今後ますます各地で都市開発やインフラ整備をすすめていく必要がある。日本の近代化の経験やノウハウが活用できる場面は少なくない。例えば、大都市ホーチミン市やハノイ市においては、日本企業による工業団地立地だけでなく、都市開発への関心も高まっている。会員形式で、大都市での開発動向やニーズを踏まえつつ、日本企業の参入に対する支援、共同事業やセミナーを行う。地球温暖化防止のための都市における省エネ事業、CDM事業も検討する。

 2.受託予定調査事業業務
1)地域振興アドバイザー派遣事業調査
    本事業は、地域振興に関する多様な地域の要望に対して、地域づくりの専門家を派遣し(約20地域に3名のアドバイザーを年3回派遣)、地域課題の検討を支援する事業である。1988年にスタートして本年度で21年目を迎える。テーマは、地域の活性化、中心市街地の活性化、第3セクターの経営問題等と多岐にわたっている。最近では、地方自治体にとって懸案となっている市町村合併後の地域づくりや施設管理活用策も主要なテーマとなっている。
2)地方拠点都市整備支援事業
    1992年に地方拠点法が施行され、そのフォローとして各拠点都市地域が策定した基本計画に基づく整備に関する支援を実施してきている。主な業務は、地方拠点法に関する施策研究会という研修会の実施と地方拠点都市地域に関する情報誌の企画・発行である。加えて関係自治体で構成される全国協議会の支援もある。
3)国土政策関係研究支援事業
    本業務は、2007年度に始まった国土交通省の新規事業である。国土計画・国土政策等に関する調査・研究を行う若手研究者に対して、研究課題を広く公募し、審査の上、優秀と認められる研究企画案に対し研究委託の契約方式で研究助成を行うものであり、研究助成をする上での一切の管理運営(公募、選考・委員会運営、研究委託、報告会開催、取りまとめ等)を行う。参考までに、2007年度は総額1,000万円で6件の研究助成について運営を行った。
4)熱帯アジア都市の省エネ化調査
    地球温暖化が進む中で、CO2の削減を地球規模で進める必要がある。熱帯アジア都市は、今後とも成長が見込まれているが、こうした都市への温暖化対策の一助として、省エネ化都市、エネルギー消費や環境配慮に考慮したスタイルを提案し、具体に支援の提案を検討する。さらに低炭素都市への移行を検討する。
5)既成市街地再開発調査
    都市再生機構と東京電力鰍ゥら成る「既成市街地と都市基盤整備に関する研究会」を組織し、都市機能の向上とよりよい住宅の供給に資することを目的として、土地の高度利用とエネルギーの有効活用のあり方について検討する。
 本年度は、持続可能・循環型社会の実現に向けて、街づくりにおいては、地球温暖化対策やヒートアイランド対策が喫緊の課題とされており、省エネルギー、環境共生への取り組みが重要となっていることから、都市機能の向上とよりよい居住環境形成に資するべく、地球環境に配慮した都市基盤整備、エネルギー利用のあり方について検討を行う。
6)外苑東通り研究会
    本調査は、都市再生緊急整備地域内の未整備な主要幹線道路において、主要幹線に相応しい街路整備を進めるための沿道市街地整備のあり方や課題および方向性を検討することを目的とする。
具体的には、緊急整備地域「環状二号線新橋周辺、赤坂・六本木地域」の市街地整備において“軸”となりうる「外苑東通り沿道地域」を対象とし調査を行う。
 2002年度以降、快適で魅力のある街路空間の整備ならびにそれに連動する沿道市街地整備のイメージを作成し、その推進のための周辺地域を含めた「通り」づくり・まちづくりのコンセプト策定に向けた検討結果を2004年度にとりまとめ、 「グランドビジョン」を作成した。2005年度にはタウンミーティングを開催した。
 これらに基づき、地元住民の方の意見も踏まえながら「東京文化都心」、「グレートストリート」の具現化に向けての研究を深めていく。
7)景観まちづくりに関する意見交換会
    電気事業者は、「良好な景観の形成」に資する設備形成に積極的に寄与するよう努めたいとの意向を有しており、かつ、それを実現できる力のある企業である。その際に、供給義務や料金負担の公平性など公益事業である電気事業の特性を 考慮し、現実的な事業運営に大きな混乱が生じないように配慮することが一方において重要な課題となっている。ついては、幅広い専門的な知識と高い見識を有し社会的に大きな影響力を持つオピニオンリーダーの先生方と電気事業者幹部が、景観問題に関する自由で忌憚のない意見交換を通じて理解と認識を更に深め、 良好な景観づくりに一層貢献する設備形成を推進していくことを目的とする。

 3.そ の 他
1.公益法人制度改革への対応
    従来の公益法人制度は2006年6月に公布された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(いわゆる「公益法人制度改革3法」)により大幅に変革された。
 公益法人制度改革3法は2008年12月に施行され、同時に当センターは法律上「特例民法法人」となる予定であり、引続き制度改革への対応を図るため、情報収集や移行のために必要な条件整備を行うこととする。
2.規程の整備、システム化の推進
   公益法人制度改革への対応やセンター運営の合理化等を図るため、各種規程の見直しや新設、固定化している手続きについてその規定化を図る。
 また、保有しているデータをより有効に活用するためのシステム化や保管すべき資料等の電子化について、その必要性、管理体制、費用等を含め検討する。
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